くも膜下出血の恐ろしい合併症「遅発性脳血管攣縮」と、悪化を防ぐ分子水素のメカニズム

ヘッダー画像:激しい頭痛で頭を抱える様子の写真、または頭の中の血管(動脈瘤)の破裂をイメージした医療イラスト

「バットで後頭部を殴られたような」と表現される激しい頭痛。

脳の表面を覆うくも膜の下で動脈瘤(血管のコブ)が破裂して起きる「くも膜下出血」は、発症と同時に命の危機に直面する極めて重篤な疾患です。

手術によって破裂した血管を上手くクリップ等で止められ、一命を取り留めたとしても、脳神経外科の医師や家族には「約数日〜2週間後」の期間に最大の試練が待ち構えています。それが、脳の血管が突然細く縮み上がってしまう【遅発性脳血管攣縮(ちはつせいのうけっかんれんしゅく)】という合併症です。

この致命的な合併症を抑えるために、副作用のない水素という分子が大きな役割を果たしています。

救命後に突然訪れる「血管のケイレン」

くも膜下出血の特徴は、脳の表面に出血した「血液」がべったりと留まることです。

留まった血液が数日かけて分解される際、強烈な「酸化ストレス(大量の活性酸素)」と炎症物質が発生し周囲の細胞を攻撃します。この酸化と炎症の猛攻を受けた脳血管は、防御反応や内皮細胞の傷によって痙攣(ケイレン)を起こし、極端にキュッと細くなってしまいます(=脳血管攣縮)。

血管が細くなれば、当然その先の脳組織に血液が行かなくなり、最悪の場合は二次的な「広範囲の脳梗塞」を引き起こして命に関わったり、重い後遺症を残してしまいます。

水素が血管の炎症シグナルを先回りして消去する

この深刻な血管の収縮を防ぐための一手として研究されているのが、分子水素です。

出血後の分解過程で生じる悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)を、水素分子が速やかに細胞内で無害な水へと変えることで、酸化による「血管へのダメージ伝達」を根こそぎ遮断します。

実際に、くも膜下出血モデルを用いた基礎研究において、水素療法を施したケースでは脳血管の痙攣(攣縮)レベルが有意に抑制され、それに伴う脳神経のダメージと後遺症が目覚ましく軽減されたことが報告されています。

重症患者の二次被害を防ぐ現場において、「最も小さな抗酸化バリア」である水素は、医師たちが戦う最後の砦の強力なサポーターになり得るのです。


【引用文献・エビデンス】

  • Takeuchi, S., et al. "Hydrogen may improve neurological outcome in subarachnoid hemorrhage." *Medical Hypotheses*, 2012. または同系統の、くも膜下出血後の遅発性脳血管攣縮に対する水素の抗酸化ストレス・抗炎症作用を証明した脳神経外科学研究群に基づく。