脳梗塞の急性期治療に革命を。脳のサビを防ぎ、回復を劇的に促進する水素ガス吸入療法

ヘッダー画像:突然の頭痛や麻痺に倒れ込むイメージCG、または救急搬送・脳MRIの画像

ある日突然、脳の血管が極端に詰まり、血液が流れなくなる「脳梗塞」。

半身麻痺や重い言語障害といった深刻な後遺症を残す恐ろしい病気であり、一刻も早く血管の詰まりを溶かす治療(t-PA静注療法など)を行うことが絶対条件となります。

しかし、無事に血管が通り血流が再開した直後、脳内では「第二の危機」が発生します。

この危機から脳神経を守り抜き、後遺症からの回復を劇的に促進するための強力なプロテクターとして、最先端の脳神経外科領域で導入が進んでいるのが『水素ガス吸入療法』です。

血が流れた瞬間に「脳がサビる」というパラドックス

脳の血管を短時間でも塞がれると、その先の脳組織は酸欠状態に陥ります。

そこへ急に血流が再開(再灌流)されると、虚血のストレスに晒されていた脳細胞から、非常に強力で凶悪な「悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)」が爆発的に発生します。

せっかく血管が通ったのに、この爆発的に生まれた活性酸素が正常な脳細胞や血管内皮細胞を強烈に酸化(サビ)させ、脳のむくみ(脳浮腫)や細胞死を引き起こして被害をさらに拡大させてしまいます。これを「脳の虚血再灌流障害」と呼びます。

日本の臨床試験が証明した「水素と脳保護」

この恐ろしい「第二の脳細胞破壊」を防ぐためには、血流が再開するタイミングで強力な抗酸化成分を脳に行き渡らせるしかありません。あらゆる物質の中で最も小さく、脳への高い移行性を持つ水素はこれ以上ない適任でした。

実際の急性期脳梗塞患者を対象とした臨床試験において、一般的な保護薬(エダラボン等)に加えて「水素ガス吸入」を行ったグループは、脳の梗塞(壊死)のダメージエリアが有意に少なく抑えられ、麻痺などの機能回復スピードも目覚ましく向上したことが報告されています。

副作用の一切ない水素が、生死の境をさまよう脳細胞を酸化ダメージから守り抜く。水素吸入は、これからの脳救急現場において標準治療の質を底上げする「究極の脳プロテクター」になりつつあります。


【引用文献・エビデンス】

  • Ono, H., et al. "Hydrogen Gas Inhalation Treatment in Acute Cerebral Infarction: A Randomized Controlled Clinical Study on Safety and Neuroprotection." *Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases*, 2017; 26(11): 2587-2594. (急性期脳梗塞患者に対する水素ガス吸入のランダム化比較試験で、脳保護と回復促進の有効性を証明した医学論文)