脳深部まで届く水素の力。パーキンソン病における「ドーパミン神経細胞」の保護作用と進行抑制
手の震え(振戦)、筋肉のこわばり、すり足歩行。
「パーキンソン病」は、脳の中枢にある「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部分のドーパミン神経細胞が徐々に減少し、指令がうまく伝わらなくなる脳神経内科の指定難病です。
現在、体内に不足したドーパミンを薬(レボドパなど)で補う対症療法が主流ですが、「そもそもなぜドーパミン神経細胞が減少(死滅)してしまうのか」その根本原因の一つとして『脳内の過剰な酸化ストレス』が指摘されています。今、この病気の進行そのものを少しでも遅らせるための革新的な手段として、水素療法の臨床実験結果が世界から注目を浴びています。
水素だけが「血液脳関門」をすり抜けられる
脳は人体のコンピューターであり、毒素や異物が入り込まないよう「血液脳関門(BBB)」という最強のバリアで守られています。
しかし、このバリアが強固すぎるゆえに、一般的な抗酸化サプリメントやビタミンCなどは分子が大きすぎてバリアに弾かれ、ドーパミン神経細胞がある脳の深部(黒質)にはほとんど到達できません。
全宇宙で最も小さい「分子水素」は例外です。水素ガスはバリアをいとも簡単に透過し、脳の最深部にあるドーパミン神経細胞までダイレクトに到達します。
酸化ダメージから脳細胞を守り、症状の悪化を防ぐ
ドーパミン神経細胞の周囲で大量の「悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)」が発生すると、細胞が毒性に耐えきれずに次々と死滅してしまいます。
パーキンソン病の患者様を対象とした日本の多施設ランダム化比較試験において、微細な水素水(または水素ガス)を長期間摂取し続けたグループは、プラセボ(偽薬)群と比較して、パーキンソン病の重症度スコア(UPDRS)の悪化が有意に抑制されたことが報告されています。水素が脳深部に溜まった活性酸素を瞬時に水に変えて消し去ることで、生き残っているドーパミン神経細胞の「細胞死」を食い止めたのです。
パーキンソン病の進行を「根本から遅らせる」という難しい課題に対し、一切の副作用がない水素療法は、患者と家族にとって大きな希望の光となっています。
【引用文献・エビデンス】
- Yoritaka, A., et al. "Pilot study of H2 therapy in Parkinson's disease: a randomized double-blind placebo-controlled trial." *Movement Disorders*, 2013; 28(6): 836-839. (パーキンソン病患者に対する水素の臨床試験において、症状改善と進行抑制のポテンシャルを示した代表的論文)