抗がん剤の「腎臓・肝臓への毒性」を減らす。化学療法を最後まで走り切るための補助療法

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がんを克服するための戦いにおいて「抗がん剤(化学療法)」の存在は欠かせません。

しかし、がん細胞を殺すほどの強力な薬は、解毒・排泄を担う健康な「肝臓や腎臓」に計り知れないダメージ(肝毒性・腎毒性)を与えてしまいます。この副作用が限界に達すると、せっかく効果の出ている化学療法を「体力が持たずに中断せざるを得ない」という絶望的な状況に陥ることがあります。

この「抗がん剤の内臓への副作用」を抑え込み、患者さんが治療を最後まで無事に走り切るための全く新しい補助療法(アジュバント療法)として、水素療法が医療の最前線で研究されています。

化学療法薬が引き起こす激しい「臓器の酸化」

たとえば、肺がんや卵巣がんなどで広く使われる有名な抗がん剤「シスプラチン」は強力な効果を持ちますが、重篤な腎臓障害(腎毒性)を引き起こすという重大なジレンマを抱えていました。

薬が体内を巡る過程で、腎臓の中に爆発的な「酸化ストレス(大量の活性酸素)」が発生し、腎臓の細胞を物理的に破壊してしまうのです。肝臓に対する毒性(肝毒性)もまったく同じメカニズムで進行します。

薬の効果を一切邪魔せず、内臓だけを完璧にバリアする

「抗酸化剤で臓器を守ればいいのでは?」と当然考えられますが、一般的な抗酸化剤を使うと「がんを攻撃する薬の力」まで弱めてしまう危険性(拮抗作用)がありました。

しかし「水素」はここでも奇跡的なバランスを見せます。

研究において、シスプラチンを投与されたモデル動物に対し水素を与えたところ、「がん細胞への攻撃能力(抗腫瘍効果)は全く損なわずに、腎臓の酸化ダメージおよび腎細胞の死滅だけを完全に劇的に食い止める」ことが実証されたのです。これは、水素が非常に小さく、さらに最悪の「ヒドロキシラジカル」だけを選択的に消去するという特殊な働きのおかげです。

「治療を途中で諦めない」ために。一切の副作用を持たない水素吸入を化学療法のサポートとして取り入れることは、未来の腫瘍内科学における標準的な防衛策へと進化しつつあります。


【引用文献・エビデンス】

  • Nakashima-Kamimura, N., et al. "Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice." *Cancer Chemotherapy and Pharmacology*, 2009; 64(4): 753-761. (シスプラチン等の抗がん剤による腎毒性を、水素が「抗腫瘍効果を打ち消すことなく」防ぐことを証明した画期的な基礎研究論文)